信用調査大手の東京商工リサーチ及び官報(第997号)によると、福岡県久留米市の「鷹正宗株式会社」(代表取締役:濵崎 公孝)と関連の「叡醂酒造株式会社」(同代表)の2社は6月1日、福岡地方裁判所に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。負債額は鷹正宗が約36億8000万円、叡醂酒造が約2億5000万円の2社合計で約39億3000万円。
鷹正宗は天保年間に隈本家酒造として創業し、1935年11月に法人改組した老舗酒造メーカー。「鷹正宗」「筑後の寒梅」などの日本酒を製造・販売し、銘柄に「鷹」が付いている縁で福岡ソフトバンクホークス公認の日本酒に指定され、球場内で販売された「ホークスパック」やファンのための銘柄「勝鷹」なども企画・販売していた。1988年に北九州コカ・コーラボトリング(現:コカ・コーラボトラーズジャパン)が資本参加し、同社の傘下で事業を展開していたが、2008年6月に原武商店に全株式が譲渡され、親会社が変更。親会社変更後は原武商店の代表取締役でもある原武康弘氏が鷹正宗の代表取締役に就任し、新体制となっていた。
2014年には元禄年間創業の紅乙女酒造(福岡県久留米市)から焼酎製造会社「叡醂酒造」(1978年4月設立)を土地・建物・製造免許を含め譲受。以後は先細りの状態となっていた日本酒から売上が上昇傾向にあった焼酎を主力におき、低価格の紙パック入り焼酎「めちゃうま」シリーズや量り売り専用銘柄「ごりょんさん」シリーズなどを手掛け、グループ業績は上昇傾向にあるとされていたが、実際には経営不振となっていた原武商店に簿外で貸付を行う状態となっており、2023年に開催された原武商店のバンクミーティングにおいてその事実を含む粉飾決算が発覚。グループ全体に対して金融機関からの支援が打ち切られる事態となっていた。
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