官報(第956号)によると、長野県長野市の「蔦友印刷株式会社」(代表取締役:塚田 芳樹)は4月3日、長野地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことがわかった。事件番号は令和5年(フ)第53号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は令和5年9月11日午後1時30分、破産管財人には倉崎哲矢弁護士(倉崎・小林法律事務所、長野県長野市岡田町166-1 森ビル新館8階-3、電話:026-213-7455)が選任されている。帝国データバンクによると、負債額は約12億4400万円とのこと。
同社は1870年に創業したOA機器・文具販売業「蔦友」の印刷部門として1894年に開設され、1902年に活版印刷を開始した老舗印刷業者。法人格としては1941年に企業整備法により蔦友から分離独立した蔦友印刷合名会社を株式会社に改組した1946年が設立年となるが、創業時から旧大蔵省印刷局(現:国立印刷局)の指定工場として事業を展開。通常の政府刊行物だけでなく、プリペイドカードや証券類、年金手帳など、セキュリティ面での信頼性が求められる貴重品印刷なども展開。ピークとなる1992年12月期には約41億7000万円の年間売上高を計上していた。
しかしその後は企業などにおけるペーパーレス化の流れを受け需要が減少したことから、ノベルティグッズや電子書籍の製作なども請け負っていたが、同業他社との競争が激化し、債務超過に転落。この間、自社内製化を推進したほか、関連会社を売却するなどで有利子負債の圧縮を行っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの普及などにより業況がより一層悪化し、2021年12月期の年間売上高は約7億3000万円にまで落ち込んでいた。
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