2019年8月頃のウェブサイト |
信用調査大手の帝国データバンク及び東京商工リサーチによると、東京都千代田区麹町の「株式会社rs(旧:シロカ株式会社)」(代表清算人:権田修一弁護士)は7月21日、東京地方裁判所に特別清算を申請し8月3日、特別清算開始決定を受けた。負債額は東京商工リサーチが約18億6800万円、帝国データバンクが申請時で約20億2800万円としている。
同社は2000年10月にEC事業会社「株式会社オークセール」として創業(法人設立は1989年1月)した元・家電メーカー。設立当初は有料入札型リバースオークション式ショッピングサイト「オークセール」を運営するほか、同サイトでのマーケティングデータに基づいたECサイトのプロデュース事業を手掛け、2005年にはアイティメディア【2148】と共同でセレクトショップサイト「+D Select」の運営を開始(2009年12月にサービス終了)*1。この間、2007年1月から自社ブランド『siroca(シロカ)』シリーズの家電製品の展開を開始。自社で商品企画・設計を行い、製造を国内外の協力会社に委託するファブレス・メーカーとして家電量販店や大手ECサイト、テレビ通販会社などに販路を拡大し、2018年1月期には44億4464万円の年間売上高を計上していた。
しかし、2017年製・2018年製の「速暖マイカヒーター」のリコール費用が重く、業績が急速に悪化。再建を目指し金融機関に支援を要請したものの、2019年4月に一部取引先との間で架空取引を行っていたことが発覚。2019年1月期の年間売上高は約49億円を計上したものの、前述のリコールの諸費用と不適切会計処理に伴う損失処理により約14億3378万円の当期純損失となり、約11億9200万円の債務超過に転落していた。
その後は外部からコンサルタントを招聘し、借入金の元本棚上げを行う一方、債権放棄などの再建計画を金融機関に提出。11月15日までに全金融機関から債権放棄などの再建計画が承認された。再建スキームとして、2019年4月に別途設立したsiroca株式会社(現:シロカ株式会社)に同年12月25日付で吸収分割により事業譲渡を実施し、同社は現商号に変更するとともに清算処理に移行。2020年4月28日に開催された株主総会の決議により解散し、今回の措置となったという。なお、旧社が販売した製品の製品保証やリコール対応などは事業承継した新社が継続して行っている。
*1:アイティメディア、オークセールと共同でEC事業を拡大(アイティメディア株式会社、2005年12月6日)
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