官報(第267号)によると、仙台市青葉区二日町の「株式会社JDSound」(代表取締役:金 希燦)は5月29日、仙台地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は令和2年(フ)第444号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は令和2年9月17日午前11時、破産管財人には鶴見聡志弁護士(南町通り法律事務所、宮城県仙台市青葉区一番町1-17-24 高裁前ビル6階、電話:022-797-2696)が選任されている。河北新報の報道によると、負債額は2018年12月末時点で約1億1900万円とのこと。*1
同社は別の半導体設計ベンチャーの仙台事業所が独立する形で、2012年2月に「株式会社ファウディオ」として設立されたデジタル音響機器メーカー。創業者が務めていた半導体設計ベンチャーがパチスロ機で再生される映像に合わせて音楽を演奏するチップや携帯電話のオーディオチップなどを開発していたこともあり、電子回路や音楽再生に関するソフトウェアを独自開発し、ポータブル型DJ機器「GO-DJ」を開発。大規模音楽イベント「SXSW2013」に出展したことをきっかけに米・Monster Cable社とライセンス契約を締結し、「Monster GO-DJ」として発売されていた。
高い技術力が注目されたが、開発資金は韓国のパートナーを通じての助成金を主に活用しており、本体の製造も韓国で行われていた。その後、ハード面においても国内で製造するスピーカー付きDJシステム「GODJ Plus」を発売するとしてMakuakeでクラウドファンディングを実施し、同プラットフォームでは当時日本最高額となる5300万円を調達。その後もIndiegogoやJD.com(京東商城)で追加の資金調達を進め、2019年にGREEN FUNDINGでファイナルロットとして資金調達した際にはハードの製造についてもヤグチ電子工業(宮城県石巻市)で行うとしていた。
しかし、資金調達後の2019年11月に創業者の宮崎晃一郎氏が臨時株主総会により解任されるなど、内部体制が混乱した状態となり、実際のハードは韓国で製造されたものがリターン品として出荷されていた。その後、2020年1月頃に国内事業所の従業員の大半が退社する事態となったため、1月15日に国内事業所を閉鎖し、2月26日に事業を停止していた。
¥36,800
*1:仙台のJDSound破産へ 小型DJ機器など開発(河北新報、2020年2月26日)
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