東京都渋谷区の電力小売業「あくびコミュニケーションズ株式会社」他1社に破産開始決定

信用調査大手の東京商工リサーチによると、東京都渋谷区道玄坂の「あくびコミュニケーションズ株式会社」(代表取締役:佐竹 雅哉)と関連会社で札幌市中央区南一条西の「株式会社カステラ」(代表取締役:渡辺 大也)は2月28日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。破産管財人には佐長功弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、東京都中央区八重洲2-8-7 福岡ビル9階、電話(あくびコミュニケーションズ破産管財人問合せセンター):0120-941-916)が選任されている。負債額は調査中だが、数億円規模に達する見通し。なお、同社の破綻に関連して、フォーバルテレコム【9445】はこれら2社に対する売掛金5億5500万円、未収入金19億8100万円の合計25億3600万円に取立不能または取立遅延となる恐れが生じたとする臨時報告書を関東財務局に提出している*1ほか、破産管財人によれば、早ければ3月末にも同社が提供していた各種サービスの停止が見込まれるため、早急に他社への移管が望まれるという。

あくびコミュニケーションズは2015年3月に設立された電力小売事業者。設立当初は居宅介護サービスのほか、「あくびネット」の名称でISP(インターネットサービスプロバイダ)を展開。オプションとして米ウェブルート社のセキュリティソフトがベースの「みまもりセキュリティ」を提供するほか、関連会社に介護・福祉用具レンタル事業を展開する株式会社あくび(埼玉県川口市)があることから、要支援・要介護認定を受けた利用者・家族を対象に「ケア割」の名称で割引サービスを展開。近年は関連事業としてMVNO「AKUBI Mobile」を展開するなど、通信事業を強化したほか、電力小売自由化を受け、電力供給サービス「AKUBIでんき」を開始していた。

しかし、この「AKUBIでんき」の営業・勧誘の際、「電気料金の総額が毎月5%安くなる」などと告げながら、実際には一部しか安くならないなどの特定商取引法違反の事由があったことから、2019年4月に消費者庁から一部業務の停止命令を受け*2、信用性が低下。また最近では、数カ月分の料金の前払いを条件とする「まとめ割」を2019年7月に「AKUBIでんき」の利用者の一部に、2019年12月には利用者に情報提供をせずに1336件の顧客に適用して7752万円を過大徴収するなど、電気通信事業法に違反する事案がみられたことから、総務省は2020年2月28日付で業務改善命令を出していた*3。同社はこの行政処分の同日に自己破産の申請を行ったという。また3月2日には、経済産業省があくびコミュニケーションズが再生可能エネルギー特別措置法に基づく納付金を2020年3月2日までに納付していなかったことを発表している。*4





*1株式会社フォーバルテレコム(E04476)臨時報告書(PDF文書)
*2電力小売会社に業務停止命令 消費者庁(日本経済新聞社、共同通信、2019年4月26日)
*3あくびコミュニケーションズ株式会社に対する業務改善命令(総務省総合通信基盤局、2020年2月28日)
*4経産省、指定期限までに納付金を納付しない電気事業者2社を公表(NETIB-NEWS、2020年3月16日)

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