広島市中区のマンションデベロッパー「株式会社日本アイコム」が民事再生法の適用を申請 「CLARS(クラース)」シリーズを展開

信用調査大手の帝国データバンクおよび東京商工リサーチによると、広島市中区の「株式会社日本アイコム」(代表取締役:野上和政)は8月30日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し同日、保全処分命令および監督命令を受けた。申請代理人は山崎良太弁護士(森・濱田松本法律事務所、東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 丸の内パークビルディング、電話:03-5223-7790)ほか7名で、負債総額は帝国データバンクの速報値では債権者約130名に対し、約116億8700万円となっている。

同社は2002年7月に設立されたマンションデベロッパー。広島都市圏においては後発ではあったが、自社ブランドマンション「CLARS(クラース)」シリーズの開発・分譲を軸に事業を展開し、これまで他社が積極的ではなかった広島市内中心部に「クラース広島ザ・マーク(48戸)」を開発したことで知名度を上げ、その後JR広島駅北口で手掛けた「クラース二葉の里テラス(116戸)」ではこれまで「駅裏」などとされていた再開発地区を「エキキタ」と表現するなど、宣伝手法に優れており、2016年9月期には約67億7073万円の年間売上高を計上していた。

その後も超低金利の金融環境を背景に積極的な物件開発を進めていたが、東京オリンピック関連工事などに伴う資材費用や人件費の高騰による建設費の増加や、マンション用に取得した用地に地中障害が発覚するなど想定外の費用の発生により工期の遅れや計画の見直しを余儀なくされた物件が発生し、採算割れの状態が続き、2017年9月期の年間売上高は約26億703万円にまで減少。手元資金が乏しい状況に陥ったため、大口の仕入先に対して支払時期の延期を要請するなど、資金繰りが逼迫していることが表面化していた。

このため、同社では金融機関などへ支援を要請していたものの、これが不調に終わり、2018年8月末の資金手当てが不可能となったことから自主再建を断念し、今回の事態となったという。今後は早期にスポンサーを確定して計画外で事業を譲渡し、事業再建を図る予定となっており、現時点では同業のGAパートナーズ(広島市中区)などの名前が挙がっている。


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