仮想通貨取引大手「コインチェック」が不正アクセス被害 約580億円相当の仮想通貨「NEM」が消失

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨取引所大手「コインチェック」を運営するコインチェック株式会社(東京都渋谷区、代表取締役:和田晃一良)は26日、同日午後11時30分から緊急の記者会見を開き、同取引所が不正アクセスを受け、約580億円分に相当する仮想通貨「NEM(ネム)」が消失したと発表した。同取引所に関しては、同日深夜から一部の仮想通貨の取引が行えない状態になっているとして大きな話題となっていた。

同社の会見によると、同日午前11時25分、同取引所のNEM(通貨単位:Xem)残高が異常に減少していることを検知し、調査を行ったところ、同日午前3時頃、5億2300万Xem(検知時点のレート換算で約580億円相当)が流出したことが確認されたという。現在、同社は金融庁および警察などに対し問題発生を報告し、対応策を検討しているほか、NEM財団や他の取引所と連携する形で、盗まれたNEMの追跡などを行っているという。また、現時点ではNEM以外の仮想通貨の流出は確認されていないとしている。

流出の経緯などについては現在も調査中であるとはしながらも、同社は仮想通貨の管理をコールドウォレット(ネットワーク上から隔離された状態での保管)ではなく、不正アクセスを受けるリスクのあるホットウォレット(ネットワーク上での保管)の状態で行っていた上、複数の秘密鍵を用いるマルチシグコントラクトを採用していなかったことが判明している。NEM財団(NEM.io Foundation)は仮想通貨に関する専門ニュースサイト「Cryptonews」の取材に対し、今回の件はマルチシグコントラクトを採用していなかったことが最大の原因だとして、NEMのハードフォーク(仕様変更)を行う予定はないとしている。*1

また、同社は事業を継続するとともに、被害を受けた顧客への補償を検討しているとしているが、具体的な補償内容について、会見上では言及を避けており、現在休止しているNEM以外の取引の再開等についても時期未定としている。


*1Coincheck Theft: "The Biggest Theft in the History of the World"(Cryptonews、2018年1月26日)

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