信用調査大手の東京商工リサーチによると、東京都新宿区西新宿の「株式会社旅人舎」(代表取締役:濱谷雅之)と、関連会社で同名の「株式会社旅人舎(旧社名:株式会社クオリアス、以下クオリアス)」(同所、同代表)は7月31日、東京地方裁判所に自己破産を申請し同日、破産手続きの開始決定を受けた。破産管財人には田汲幸弘弁護士(シティユーワ法律事務所、東京都千代田区丸の内2-2-2 丸の内三井ビル、電話:03-6212-5500)が選任されている。負債額は、旅人舎が債権者51名に対し2億4000万円、クオリアスが21名に対し286万円で、このうちクオリアスの債権者10名は一般旅行者だという。日本旅行業協会(JATA)の弁済限度額は300万円とのこと。
旅人舎は2001年12月に設立された第1種旅行業者。中国旅行や東南アジア、中南米ツアーなどを主催企画するほか、航空チケットの手配・販売なども行い、ピークとなる2009年9月期には約18億5000万円の年間売上高を計上していた。しかし、設立当初からアメリカ同時多発テロ事件やSARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大の影響などから欠損を抱えるなど財務体質は脆弱で、2014年9月期の年間売上高は約11億3200万円に減少。その後、リーピーター向けのパッケージツアーの販売で売上高は一時的に持ち直したものの、為替変動による海外旅行費用の上昇や欧州や中東でのテロ事件の影響で売上高が再び低下するなど経営難に陥ったため、2017年3月に旅行事業の廃止を理由に日本旅行業協会(JATA)を退会していた。なお、福岡県にある旅行業者代理業「株式会社旅人舎福岡」(福岡市早良区、代表取締役:西岡義人)は現在、同社と資本関係はない模様。
クオリアスは2016年12月に旅人舎のクオリアス事業部を分割する形で設立された第3種旅行業者。マダガスカルやガラパゴス諸島、ボリビアなどの秘境や特殊地域への個人旅行を専門に取り扱う旅行業者として事業を展開。旅人舎がJATAを退会したことを受けて、同社がJATAに入会し、旅人舎の事業を承継していたが、事業継続が困難となったため、今回の事態となったという。なお、クオリアス事業については、株式会社Go every(同所、代表取締役:藤井剛)が承継したものとみられるが、同社についての詳細は不明。
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