信用調査大手の帝国データバンクおよび東京商工リサーチによると、東京都世田谷区上用賀の「日東通信機株式会社」(代表取締役:髙石見機)は5月31日、東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し、同日受理されたことがわかった。事件番号は平成29年(ミ)第3号で、債権者説明会(主催:同社、会場:TKP 新橋カンファレンスセンター)は平成29年6月6日午前10時、債権者数および負債総額は両社とも約435名に対し約28億円となっている。
同社は1952年(昭和27年)3月に創業し、1954年11月に法人化した通信装置・測定機器メーカー。光通信装置、デジタル多重化装置、デジタル信号処理装置などの通信・映像関連機器の設計・製造・検査を手掛け、大手電機メーカーの協力工場として高い技術力と豊富な実績を有していた。福島市内の工場で生産を行い、情報通信機器の普及と需要増を背景に業績を拡大。ピーク時となる1997年9月期には約97億2200万円の年間売上高を計上していた。
しかし、従来から設備投資資金などに伴う多額の有利子負債を抱え、過剰債務の状態が続いていたため、2002年頃には負債額が約56億円超に達し、資金繰りが困難な状態に陥り、以後は売却可能な資産の売却などにより借入金の圧縮に努めていた。しかし、競合激化や取引先メーカーの生産拠点の海外移転などから受注減に歯止めがかからず、2013年末にはメインバンクから運転資金の融資を断られ、2014年2月には決済難となるなど、対外信用が低下。2016年9月期の年間売上高は約18億1556万円にまで減少し、1億1078万円の経常赤字に陥っていた。その後も借入金の返済猶予を受けるほか、資産売却を続けてきたものの、資金繰りが限界に達したため、今回の措置となったという。
なお、同社の旧経営陣は経営責任を取って5月30日付で退任しており、新たに選任された経営陣により、スポンサー企業を選定した上で、DIP型会社更生手続き(裁判所の監督のもとで申請時の経営陣等が管財人として経営を行う会社更生手続)に基づく再建を進めていく方針だという。
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