信用調査大手の東京商工リサーチおよび官報(平成29年3月2日 号外第42号)によると、横浜市港北区新横浜の「PVG Solutions株式会社」(代表取締役:石川直揮)は2月15日、横浜地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成29年(フ)第222号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成29年6月12日午前10時、破産債権の届出期間は3月16日までとなっている。また、破産管財人には立川正雄弁護士(立川・及川法律事務所、神奈川県横浜市中区本町1-3綜通横浜ビル8階、電話:045-664-9115)が選任されている。負債額は東京商工リサーチによると債権者50名に対して約22億円となっている。
同社は2007年3月に設立された両面受光型高効率太陽電池セルの製造およびウェハ、モジュール等の製造用マテリアルの販売を事業とする会社。同年8月に上海テクニカルサービスセンター、翌2008年8月に西条分析センターを開設し、ベンチャーキャピタルなどからの出資金や金融機関からの借入金を原資に太陽電池セルの高効率化技術に関する研究を実施。一定の技術蓄積が得られた2011年7月に愛媛県西条市に独自開発した両面受光型高効率太陽電池セル「EarthON」シリーズの製造工場を開設し、事業を本格展開させていた。
しかし、より安価な海外製品の台頭や太陽光発電の買取価格低下などで当初計画通りに業績を伸ばすことができず、財務内容は精彩を欠いていた。2014年5月には仕入先による動産譲渡の登記が設定され、2015年2月には仕入先による債権譲渡登記が設定されるなど、経営状況は悪化傾向となっていた。
2016年3月期の売上高は約20億円に達したものの、依然採算に乗らず、同年8月に北海道支店を廃止し、同年10月には登記上本社を横浜市港北区新横浜から愛媛県西条市港へ移転するなど、事業体制の変更を実施していた。しかし同月に西条市、11月に愛媛県から工場不動産が差し押さえられるなど、経営状況の一層の悪化が露呈したため12月には事業を停止していた。その後、2017年1月に再び現在地へ登記上本社を移転するなど短期間に本社移転を繰り返すなか、同月に厚生労働省、2月には財務省からも工場不動産が差し押さえられていたという。
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