この研究は2014年12月に洪水災害が発生したマレーシアのクランタン州在住の成人31人を対象に行われたもので、洪水災害後に過敏性腸症候群などの腹部異常の症状のある被災者11名に、新生児の腸で発見された同社独自のビフィズス菌「M-63株(Bifidobacterium longum subsp. infantis:ビフィドバクテリウム・インファンティス)」の粉末(25億個/包)を1日1包、3ヶ月間摂取させるとともに、摂取しない同様の症状を有する20名を対照群として被災者の精神状態などの健康状態を「SF-36」というQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の評価を行うアンケートにより比較したという。また、被災者から提供された便を次世代シーケンサーを用いて腸内細菌叢を網羅的に解析し、腹部異常を有する被災者の精神状態改善作用について調査したという。
この介入前後の変動値を比較した結果、精神状態を示すスコアである精神的側面のサマリースコア(活力・社会生活機能・日常役割機能(精神)・心の健康などの精神状態を示すスコア)が非摂取群と比較して「ビフィズス菌M-63」摂取群で有意に改善されたという(図1)。
介入後の精神的側面のサマリースコアについても同様に比較した結果、非摂取群と比較して「ビフィズス菌M-63」摂取群ではスコアが有意に高く、精神状態が改善されていることが示唆されたという(図2)。また、介入後の腸内細菌叢を比較した結果、Firmicutes(ファーミキューテス門)/Bacteroidetes(バクテロイデーテス門)比率が有意に低下していることが分かりました (図3)。さらに、介入後の精神的側面のサマリースコアとFirmicutes/Bacteroidetes比率に有意な負の相関が認められたため、「ビフィズス菌M-63」摂取による精神状態の改善効果と、その改善には腸内細菌が関与している可能性が考えられるとの結果が得られたという。
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