信用調査大手の帝国データバンクおよび東京商工リサーチによると、東京都渋谷区渋谷の「株式会社てるみくらぶ」(代表取締役:山田千賀子)は3月27日、事業を停止するとともに東京地方裁判所に自己破産を申請し、同日、破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成29年(フ)第2020号で、申請代理人は南勇成弁護士(西村あさひ法律事務所、東京都千代田区大手町1-1-2 大手門タワー、電話:03-6250-6200)、破産管財人には土岐敦司弁護士(成和明哲法律事務所、東京都港区虎ノ門4-3-1城山トラストタワー31階、電話:050-5827-7294)が選任されている。尚、本件に関する問い合わせ窓口が別途開設されており、電話番号は03-3499-7555、受付時間は平日の午前10時から午後5時となっている。債権者数は一般旅行者3万6046名を含む3万6266名で、負債総額は申請時点で約151億円となっている。
同社は1998年12月に同社代表が代表を兼務していた企業の旅行事業部門を分社する形で設立された第1種旅行業者。インターネットを通じてのオンライン販売サイトを開設し、ハワイを中心にグアム、サイパン、韓国、台湾など、一般個人向け格安海外パッケージツアーを企画。格安旅行会社として一定の知名度を得て、札幌、名古屋、大阪、福岡に営業所を構えるほか、ハワイ、グアム、韓国などに現地法人を設立するなど業容を拡大させ、2011年9月期には約134億2400万円の年間売上高を計上。近年の売上は一進一退の状況となっていたが、グループ会社からの事業移管を行い、ヨーロッパ旅行やクルーズ旅行など付加価値商品の展開を開始したことや積極的な広告展開が功を奏し、2016年9月期の年売上高は195億9600万円円に達していた。
しかし、現地法人や国内事業拠点の設立・開設に伴う形で人件費が増加していたうえ、積極的な広告出稿にともなう販管費負担などが負担となっていた。さらに格安旅行会社の過当競争や円安の影響も重なり利益率が悪化し、2014年9月期には営業赤字に転落するなど、余裕のない資金繰りが続いていた。このため、同社では現金一括入金キャンペーンの実施や取引先への支払条件の変更などで繰り回していたが限界に達し、3月24日には旅行ツアーの航空券が一部発券できなくなるなどのトラブルが表面化、観光庁が調査に乗り出すなど大きな問題となっていた。
同社によると、主要銀行との協議を通じて資金調達に努めていたが、3月23日に予定されていた国際航空運送協会(IATA)に対する顧客の航空運賃に支払が遅延する事態となり、新規の受注業務が困難となったため、3月24日以降の受注業務を一時停止し、資金調達に努めていたものの、資金調達の目途が付かなかったため、事業継続を断念し、今回の事態となったという。また、東京商工リサーチの速報では関連会社については方針検討中となっていたが、このうち個人ツアーの企画・催行を事業としていた株式会社自由自在(東京都渋谷区渋谷、同代表)については同日付で営業を停止しており、今後、自己破産申請に移行するものとみられる。自由自在についても問い合わせ窓口が開設されており、電話番号は03-3499-7737(平日10:00~17:00)となっている。
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