東京都世田谷区の産業用大型プリンター製造販売「株式会社ルキオ」が事業停止 立地補助金の不正受給で信用失墜

信用調査大手の帝国データバンクおよび東京商工リサーチによると、東京都世田谷区奥沢の「株式会社ルキオ」(代表取締役:古谷庄悟)は3月9日までに事業を停止し、事後処理を中村繁史弁護士(東京丸の内法律事務所、東京都千代田区丸の内3-3-1新東京ビル225区、電話:03-3213-1081)ほか1名に一任し、自己破産申請の準備に入ったことが分かった。負債総額は2016年5月期時点で帝国データバンクが約23億円、東京商工リサーチが20億4756万円としているが、帝国データバンクはその後変動している可能性が高いとしている。

同社は1994年8月に設立された産業用大型インクジェットプリンターの製造・輸入・販売およびサプライ品の販売を事業とする会社。swissQprint AG.(スイス)やXante Corporation(アメリカ)など、欧米のメーカー製品を主体に国内メーカー製品も取り扱う幅広いラインナップを揃え、印刷・看板業者などのほか、代理店経由での販売網を構築。また、一部製品については台湾のメーカーに製造を委託し、自社ブランドでの展開を行うなど、メーカー機能を有する専門商社として事業を展開し、2014年5月期には約18億1600万円の年間売上高を計上していた。

この間、2014年3月には福島県相馬市にLED光源装置の製造拠点となる東北工場を開設してLED照明の製造・販売に参入するなど業容を拡大し、2016年5月期には年間売上高を約29億3194万円にまで伸長させていた。また、同工場の開設時には福島県の「ふくしま産業復興企業立地補助金(3次募集)」(約10億8000万円)や南相馬市の立地補助金(5000万円)を受給していた。

しかし2016年11月、取引の関係者からの情報提供から調査を進めていた福島県が同社が大型プリンター購入費の水増しなどにより補助金を不正に受給していることを公表し、不正受給分(約5億7700万円)の返還を命令。これを受けて南相馬市も立地補助金全額の返還命令を出し、同社は返還命令を受けた金額を返還するとともに、工場の操業を継続していたが、返還命令およびその報道などにより信用が失墜。2016年末頃には一部事業を他社に譲渡するなど業容を縮小させるなど経営改善に取り組んでいたが、資金繰りが限界に達したため事業継続を断念するとともに、2017年2月末をもって取引先への支払いを停止していた。



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