信用調査大手の帝国データバンク、および東京商工リサーチによると、東京都渋谷区道玄坂の「株式会社うちナビ」(代表取締役:角南圭)は10月12日、東京地方裁判所に準自己破産を申請し同日、破産手続きの開始決定を受けた。申請代理人は、井上裕史弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所東京事務所、東京都千代田区内幸町1-1-7 NBF日比谷ビル7階、電話:03-3539-5161)ほか2名。事件番号は平成28年(フ)第7299号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成29年2月6日午前10時30分、破産債権の届出期間は11月16日までとなっている。また、破産管財人には岩崎晃弁護士(岩崎法律事務所、東京都中央区八丁堀四丁目1番3号 宝町TATSUMIビル5階A、電話(直通):03-6222-7231)が選任されている。負債総額は帝国データバンクが約7億1300万円、東京商工リサーチが約8億円と推計している。
同社は1995年(平成7年)11月に設立された不動産賃貸仲介業者。都内の主要駅近辺を中心に直営店「うちナビ」約20店舗を展開するほか、賃貸物件検索サイト「うちナビ」を運営していた。取扱物件は単身者用アパートやファミリー向けマンションなど居住用物件が大半を占め、特に20~30代の学生・社会人を主要ターゲットとして大企業、大学生協などとの法人契約を重視。首都圏での店舗網拡充を進めるとともに、2013年秋に大阪梅田と福岡、2015年春には横浜へ直営店を出店するなど営業エリアを拡大し、2016年3月期には約9億6500万円の売上高を計上していた。
しかし、累積損失を抱えつつ、多額の先行投資を要する多店舗展開を短期間に進めたことで財務面は脆弱であり、株式公開を目指してベンチャー・キャピタルからの増資なども実施していたものの、必要な事業基盤や社内体制の整備が遅れ、また社員教育に注力するあまり長時間労働から元社員による訴訟の提起がなされるなどの問題を抱えていたほか、女性タレントを起用したテレビCMなどの広告宣伝費や店舗増加に伴う人件費の上昇もあって、昨年以降は資金繰りが悪化。店舗閉鎖などリストラを進めていたが業況は改善せず、今夏には代表の角南氏との連絡が困難になるなど動静が注目されるなか、10月12日に営業活動を停止。会社の清算を図るためとして、同社役員が自己破産を申し立て、今回の措置となったという。
コメントを投稿
コメントを投稿
削除申請等の場合は本人確認が可能な個人情報の入力が必要です。匿名での申請は受け付けておりません。