なお、債権者は親会社のパナソニックの1社のみとなっており、同社は平成28年3月期においてPPDの株式に対する関係会社株式評価損残高525億円を計上するとともに、将来の損失見積額について、関係会社事業損失引当金4943億円を計上している。また、今回の特別清算の申立てに伴う追加の損失額57億円については平成29年3月期に計上する予定としている。*1
パナソニックプラズマディスプレイは2000年7月に設立された「松下プラズマディスプレイ製造株式会社」を前身とし、同年10月に東レとの共同出資により「松下プラズマディスプレイ株式会社」として設立されたプラズマディスプレイ関連製品の製造会社。2001年1月には海外関連会社として「上海松下等離子顕示器有限公司」(2005年にパナソニックプラズマディスプレイ上海有限公司に商号変更、2013年に清算完了)を設立して同事業の専用工場を開設するなどの大型投資を行い、2001年6月にディスプレイパネルおよび製品の製造を開始すると、同年12月に上海工場、2004年4月に第2工場(茨木市)、2005年と2007年に第3・4工場(尼崎市)の稼働を開始するなど業容を拡大。主力のプラズマディスプレイのほか、業務用プラズマディスプレイ、プラズマテレビ、プラズマディスプレイモジュール、その他関連部品製品の製造を手がけ、親会社であるパナソニックに販売。パナソニックショップを通じた販売が好調だった2009年3月期には約3137億1400万円の年間売上高を計上していた。
しかし、液晶ディスプレイの大型化などの技術的な進展や2008年9月に発生したリーマン・ショックを契機としてサムスンSDIやLG電子といった韓国勢との激しい価格競争に直面したことにより業績が悪化。このため、2011年に発表された事業構造改革で生産を第4工場に集約させることを決定し、2012年3月をもって第4工場を除く国内の製造拠点の生産を終了。同年9月には上海工場の生産を終了するなど業容を縮小させたほか、民生用から電子黒板などの業務用に生産の主力を移行させるなど、収益改善策を施していたが、映像ディスプレイ市場におけるプラズマディスプレイのシェア低下など、事業環境の悪化などもあり、2012年3月期の売上高が前年比53%の約424億円にとどまったため、*2 2013年10月に製造休止を発表し、2014年3月をもって事業を停止していた(事業を停止した2014年3月期の売上高は約202億円)。事業停止後は所有不動産などの処分を行っていたが、その処分が完了したこともあり、今回の措置となったという。
なお、茨城工場(第1~2工場)の跡地は大半を大和ハウス工業が取得し、物流大手・ヤマトホールディングスの総合物流ターミナル「関西ゲートウェイ」を建設中で、2017年11月の稼働を目指しているほか、*3 尼崎市の第5工場については投資助言会社「株式会社センターポイント・ディベロップメント(CPD)」(東京都千代田区)が工場建屋及び敷地を現状有姿で取得し、マルチテナント型流通加工センター「CPD尼崎流通センター」として利用するべく、2017年10月の竣工を目指して改築工事を進めている。*4
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*1:連結子会社(PPD)の解散(特別清算)及び債権放棄に関するお知らせ(PDF文書、パナソニック株式会社、平成28年10月31日)
*2:2012年度 第1四半期 連結決算補足資料(PDF文書、パナソニック株式会社、2012年7月31日)
*3:パナの名門工場、茨木「松下町」旧テレビ工場売却へ ヤマトが物流拠点に借り受けで調整(産経WEST、2014年2月18日)
*4:CPD/パナソニックの工場、24万平方米の物流拠点に改修(LNEWS、2014年4月30日)
■関連リンク
CPD尼崎流通センター|株式会社センターポイント・ディベロップメント
http://centerpoint.jp/amagasaki/
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