東京都新宿区の雑誌・書籍出版「株式会社音楽専科社」他1社に破産開始決定 音楽・芸能に特化、一部雑誌は辰巳出版に移管

信用調査大手の帝国データバンク、および東京商工リサーチによると、東京都新宿区高田馬場の「株式会社音楽専科社」(代表取締役:鈴木佳男)と関連会社の「株式会社連合通信社」(同所、同代表)は10月14日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成28年(フ)第7335号及び第7336号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成28年2月13日午後1時30分、破産債権の届出期間は11月18日までとなっている。また、破産管財人には永野剛志弁護士(東京丸の内法律事務所、東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル225区、電話:03-3213-1081)が選任されている。負債額は自己破産申請時点で音楽専科社が債権者567名に対して約3億6954万円(約3億6900万円)、連合通信社が債権者92名に対して約1699万円(約4850万円)、2社合計で約3億8653万円(約4億1750万円)となっている(括弧内は東京商工リサーチ調べ)。

音楽専科社は1966年(昭和41年)11月に設立された音楽・芸能分野に特化した雑誌・書籍出版社。当初は会社名にもなっている『音楽専科』という洋楽専門誌を発行していたが、1980年代に休刊。その後はJ-POP専門誌『ARENA37℃』(1982年10月創刊、2013年8月休刊*1)やヴィジュアル系バンド専門誌『SHOXX』(1990年10月創刊)を発行するほか、増刊雑誌や写真集を発行し、1998年9月期には約21億円の年間売上高を計上していた。

しかし近年は、インターネットやスマートフォンなど新たな情報媒体の台頭による出版不況の影響から業容を縮小しつつも、男性俳優専門誌『Cool-up』(2007年1月創刊)、声優専門誌『Pick-up Voice』(2007年4月創刊)などを発行していたが、2015年6月に民事再生法の適用を申請した栗田出版販売株式会社(現:株式会社KRT)に対する455万円ほどの不良債権が発生。近時の年間売上高も約2億5000万円にとどまるなど、雑誌販売の落ち込みに伴う業績悪化に歯止めがかからないなか、先行きの見通しも立たないことから、9月20日付で事業を停止。その後に再度の資金ショートを起こし10月5日、銀行取引停止処分となっていた。

関連会社で業界新聞『日刊連合通信』『月刊連合通信』発行の連合通信社についても、ピーク時の1997年9月期には約1億6000万円の年間売上高を計上していたが、紙媒体出版物の販売縮小に伴って2015年9月期には約5000万円まで縮小。音楽専科社が自己破産申請の準備に入ったため連鎖する形になったという。

なお、声優専門誌『Pick-up Voice』については『声優 Pick-up Actor』に改題の上で、パチンコ雑誌や釣り雑誌などの発行で知られる「辰巳出版株式会社」(東京都新宿区)に移管され、*2 2016年10月から発行が開始されている。

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*1音楽雑誌「ARENA37℃」、9月号で休刊(J-CASTニュース、2013年8月11日)
*2「名前が変わっても続くのがうれしい」アニメ声優専門誌「Pick-up Voice」の継続刊行に読者から喜びの声!(おたぽる、2016年10月19日)

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