同社は江戸時代初期にあたる1662年(寛文2年)に「伊勢屋」として創業した老舗旅館の経営会社。4代目が松坂出身であったことから「松坂屋」と屋号を変更している。歌川広重の「箱根七湯図会」にも描かれるほどの歴史を有し、また、西郷隆盛や木戸孝允、勝海舟といった歴史上の著名人が宿泊したことでも知られている。敷地内に源泉を持つことから「源泉主義」を掲げ、天候などに反応して稀に白濁するエメラルグリーン色の自家源泉から湧出する温泉を全館かけ流しで提供しており、箱根随一の泉質だと評判であった。
また、敷地内には皇室の別荘として建てられた山荘「松鶴山荘」「仰光荘」「洗心亭」や、旧三菱財閥の岩崎家別邸だった大正時代の建築など歴史的建築物が存在することなどでも知られていたが、老朽化が進んでいたこともあり、2008年頃に内装工事を中心とする改装工事を行い、リニューアルオープンしていた。しかし、2015年6月に箱根山の大涌谷で小規模とはいえ観測史上初となる噴火が観測されたことなどから集客力が落ち込み、宿泊料金の値上げや人件費などの固定費圧縮などで経営の改善を図っていたが、この噴火の際の影響か、浄化槽の故障と自家源泉を汲み上げる配管破断の修繕のため、2015年9月に温泉の供給設備工事を行うとして休館していた。
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