同社は2010年3月に設立されたEV(電気自動車)用急速・中速充電器の設置・運営・管理を事業とする会社。那覇商工会議所の次世代エネルギービジョン検討委員会の構想の一環として、伊藤忠エネクス株式会社など県内外の26社の出資により設立された会社で、発足当初の代表を那覇商工会議所の会頭が務めていた。*1*2実際に充電器の設置を行う際には日立製作所と日立ソフトウェアエンジニアリングが開発した充電器認証管理システムを採用。*3「E-Quick」の名称でサービスを展開し、設立当初の計画では3年以内に50台、10年後には100箇所程度の充電スペースを開設する予定となっていた。
この方針を受け、ニッポンレンタカー沖縄や日産レンタカーなど県内のレンタカー業者は相次いで電気自動車を導入*4していたが、当時の電気自動車は充電1回における航続距離が100㎞程度と限られていた上、名護市を除く県北部地域における充電設備の設置が進まなかったこともあり利用率が低迷。県内の一般車などを含めた総数ではEVは増加傾向にあったものの、レンタカー各社は2011年に導入した220台のうち198台を中古車市場に放出するなどEV関連事業を縮小していた。*5
この間、同社は沖縄県の「亜熱帯島しょ型エネルギー基盤技術研究事業」を東京大学大学院システム創成学科や日立ソリューションズなどとともに受託し、従来の最短ルートや充電施設の位置情報などだけではなく、目的地や最適な充電スポットまでの距離や時間が運転前に瞬時に分かるシステム「スマートEVナビ」の実証実験などを行っていた*6が、前述の事業縮小などの影響を受け充電設備の設置費用などが負担となり、採算が悪化。これにより、「E-Quick」の充電サービスを2015年10月30日をもって終了し、充電設備の撤去など、事業清算に向けた動きに移行していた。*7
*2:電気自動車、県内でも普及拡大へ 「エー・イー・シー」設立(琉球新報、2010年4月23日)
*3:沖縄のEV充電サービス会社エー・イー・シー、日立の充電器管理システムを導入(日経テクノロジーオンライン、林達彦、2010年9月1日)
*4:EVレンタカー始動 県内3社200台導入(琉球新報、2011年2月2日)
*5:県内EVレンタカー、4年で220→22台 「充電不安」で激減(琉球新報、2015年10月22日)
*6:最先端EVナビ、来月から実証実験 最適充電スポット簡単検索(琉球新報、2013年1月29日)
*7:E-QUICK充電サービス終了のお知らせ(琉球三菱自動車販売株式会社)
【関連記事】
日産リーフを1カ月間借りて使ってみた(中編)(Car Watch、瀬戸学、2012年10月1日)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/562237.html
【EV】離島地域のEV&充電スタンド事情(第一回; 沖縄本島)(GoGoEV、2016年8月29日)
http://ev.gogo.gs/news/detail/1472453159
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