埼玉県の熊谷総合病院・久喜総合病院の旧経営組織「埼玉県厚生農業協同組合連合会」に破産開始決定

官報(6830号)によると、埼玉県熊谷市末広の「埼玉県厚生農業協同組合連合会」(代表清算人:五月女直樹)は7月22日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成28年(フ)第5221号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成28年11月8日午前10時、破産債権の届出期間は8月26日までとなっている。また、破産管財人には永沢徹弁護士(永沢総合法律事務所、東京都中央区日本橋3-3-4 永沢ビル5階。電話:03-3273-1800)が選任されている。負債総額は約65億3374万円となっている。

信用調査大手の帝国データバンクによると、同組織は1948年10月に設立された総合病院の経営組織。1934年12月に創業した医療利用組合病院を前身としており、1948年に農協系の病院として法人改組している。熊谷総合病院と幸手総合病院の2病院を経営しており、地域の中核的な病院として、2009年3月期には年収入高約67億800万円を計上していた。また、2011年には幸手総合病院を幸手市から久喜市に移転する形で久喜総合病院を開院。熊谷総合病院についても老朽化により新病棟の建設工事を2013年に開始するなど業容の拡大に努めていた。

しかし、診療報酬の改定や消費税の増税により医療費支出を抑える人が増えたこともあり、2010年以降、赤字が常態化しており、病棟の建設費用などの設備投資負担が重くなっていたほか、臨床研修を必須とした新医師臨床研修制度により医師の確保が困難となっていたことなどもあり、2014年3月期の年収入高は約110億円と増加したものの、当期純損失約14億8600万円に陥るなど苦しい状況に追い込まれていた。

この状況を受け、同組織では病院の存続を核とした経営立て直しを模索していたものの、現在の体制を継続する形では困難と判断し、昨年度から病院の譲渡について検討を開始。2016年1月15日に両病院を「社会医療法人北斗」(北海道帯広市)および「一般社団法人巨樹の会」(佐賀県武雄市)に売却することを発表。同年6月には総会の決議により解散し、清算手続きに移行していた。

なお、「熊谷総合病院」は、社会医療法人北斗(北海道帯広市)が経営支援し、新設された「医療法人熊谷総合病院」が運営を開始し、「久喜総合病院」についても売却先となった一般社団法人巨樹の会(佐賀県武雄市)が「新久喜総合病院」として運営するなど、両病院ともに新体制下で運営をスタートしている。そのため、地域医療に穴が開くことは避けられているという。


■関連リンク
新久喜総合病院
http://shinkuki-hp.jp/
医療法人 熊谷総合病院
http://www.kumasou.or.jp/

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