東京都千代田区の和漢生薬製造「株式会社金井藤吉商店」に特別清算の開始決定 事業は新設の金井商店が承継

信用調査大手の東京商工リサーチによると、東京都千代田区鍛冶町の「株式会社金井藤吉商店」(代表清算人:金井藤雄)は6月10日、東京地方裁判所から特別清算の開始決定を受けた。負債総額は約27億7200万円(平成26年6月期決算時点)となっている。

同社は1920年(大正9年)3月、金井藤吉氏が和漢生薬製造を目的に「金井藤吉商店」として個人創業し、1960年1月に法人化した和漢生薬メーカー。永年の業歴を背景に海外農家からの調達ルートを確保するほか、自社農園において生薬・ハーブ等を栽培・集荷し選別・加工等を行い、太田胃散や救心製薬、阪本漢法製薬といった製薬会社、化粧品会社に販売していたほか、2007年に廃業した同業者の商権を承継するなどして業容を拡大。ピークとなる2011年6月期には25億261万円の年間売上高を計上していた。

しかし、経費増などから収益面はやや低調に推移していたほか、海外仕入れ先への支払先行などで資金需要が高く、運転資金を銀行からの借入に依存するなど財務面では余力のない状況となっていた。このため、取引銀行の紹介から中小企業支援協議会に支援要請を行い、スポンサー探しを行った結果、2015年7月、経営者と縁戚関係のある「株式会社前忠」(奈良県下市町)の支援を受け、同社の出資のもと「株式会社金井商店」(東京都千代田区)を設立、金井商店に同社の全事業を譲渡した上で、2016年3月31日の株主総会決議により解散し、会社整理を進めていた。


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