信用調査大手の東京商工リサーチによると、東京都中央区銀座の「日本エアービジョン株式会社」(代表取締役:中島義彦)は5月30日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成28年(フ)第3730号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成28年9月12日午前10時、破産債権の届出期間は7月4日までとなっている。また、破産管財人には神崎浩昭弁護士(弁護士法人一番町綜合法律事務所、東京都千代田区紀尾井町3-12 紀尾井町ビル8階802、電話:03-5275-6823)が選任されている。負債額は不明ながら、一般旅行者への債務はない模様。
同社は1976年(昭和51年)7月に設立された第1種旅行業者。パキスタン航空のヨーロッパ路線の販売を目的に設立され、ノースウェスト航空、フィリピン航空、エチオピア航空等のホールセール(卸売)を行い、IATAの代理店に公認されていた。手配旅行においては設立経緯もあり、東南アジアや中近東に強みを持ち、フィリピン、インド、インドネシア、ドバイ、アフリカなどを目的地とした企画旅行を「ラビットツアー」の商号で主催するなどしていた。ピーク時となる1990年(平成2年)10月期には約38億9200万円の年間売上高を計上していた。
しかし近年は市況の低迷から業績低下に歯止めがかからず、主催旅行は行わずに航空券の発行手配を中心に事業を縮小したために事業採算を維持することが困難となり、赤字が累積。売上高も2010年10月期には約8億円にまで減少するなど、悪化傾向にあった。そうしたなか、最近になって中東・ヨーロッパで発生したテロ事件の影響で得意とする東南アジア・中近東方面の旅行者数が激減したため、事業の継続は困難と判断し、廃業する方向で各種の手続きを進めていた。今回、手配済みの旅行案件にめどがついたことから、破産手続きによる整理を実施したとしている。
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