信用調査大手の帝国データバンク、および東京商工リサーチによると、大阪市中央区北浜の「株式会社プラスハート」(代表取締役:松尾正司)は5月30日、大阪地方裁判所に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は山形康郎弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪市中央区北浜2-5-23、電話06-6231-3210)で、監督委員には密克行弁護士(密総合法律事務所、大阪市中央区高麗橋2-5-10、電話06-6221-0460)が選任されている。負債額は帝国データバンクが2015年8月期末時点で約38億3300万円、東京商工リサーチが約40億円としている。
同社は1998年(平成10年)9月に設立された雑貨販売業者。日用雑貨品店「Plus Heart(プラスハート)」を主力に、アパレル・アクセサリー・服飾雑貨に特化した「pitch(ピッチ)」やギフト提案型店舗「tous LES JOURS(トゥレジュール)」、劇場型生活雑貨店「NiGLs(ニグルス)」などを展開し、20代前半から30代の女性をメインターゲットとして、北海道から九州まで全国に直営店舗93店舗、FC店28店舗(2016年4月時点)の店舗網を確立していた。また、オリジナルギフトを企画するなど自社企画商品が約10%を占め、取扱商品数は5000アイテムと多岐にわたっていたため、フランチャイズ契約店向けに卸業務も行っていた。大型商業施設内への店舗展開で事業を拡大すると、2011年8月期には年売上高約63億9133万円を計上していた。
その後も積極的に店舗の開設を行っていたものの、顧客の低価格志向からリーズナブルな商品展開を余儀なくされ客単価が伸び悩んだことや、新規出店を控えたことなどから売り上げは漸減し、2015年8月期には年売上高約58億1128万円まで縮小。さらに店舗設備に伴う金融債務の膨張や不採算店舗の増加から収益面は低調に推移し、在庫の固定化により財務面は悪化。この間、一部取引先に支払い条件変更要請を行うなど資金繰り改善に努めていたものの奏功せず、2016年に入って金融機関に対してリスケ(債務返済の繰り延べ)を要請していた。このリスケ要請に伴う資産査定において、架空在庫の計上など粉飾決算が発覚したことにより金融機関との支援交渉が決裂。自力再建が困難となったことから民事再生法による再建を目指すこととなったという。
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