信用調査大手の帝国データバンク、および東京商工リサーチによると、三重県四日市市羽津中の株式会社エムシーエル(旧商号:株式会社ミヤオカンパニーリミテド)は5月6日、津地裁四日市支部から特別清算の開始決定を受けた。事件番号は平成28年(ヒ)第4号。負債総額は両社とも約26億円としているが、帝国データバンクは流動的との注釈を付けている。
同社は1931年(昭和6年)10月に創業し、1950年(昭和25年)12月に法人改組した陶磁器の製造販売業者。洋食器のディナーセットなどを扱う高級洋食器「ミカサ」ブランドを手掛け、北米地域を中心に海外市場にも販路を拡大、ピークとなる1993年12月期には約64億8700万円の年間売上高を計上していた。
その後は廉価品の台頭や洋食器のセット購入が減少など消費者購買動向の変化もあって苦戦を強いられ、洋食器部門が低迷。この対策として、マレーシアの海外子会社を経由することなどによる製造コストの低減に注力しつつ、電子レンジやオーブン用ターンテーブル、炊飯器用セラミック釜、土鍋など厨房用セラミック製品を手がけていたが、過去の工場投資や海外子会社への貸付負担、不良在庫が資金面を圧迫し、厳しい経営を余儀なくされてきた。
2014年12月期の年間売上高は円安傾向の影響などもあり、約23億3000万円(前期比107%)*1と伸長したものの、固定資産売却損や不良在庫の廃棄・評価損などから約5億円の特別損失を計上し、約5億9000万円の最終赤字を計上。債務超過額については同期において約14億円以上に膨張していた。その後も円安傾向を追い風に事業環境は改善傾向にあったが、過去の設備投資を借入金に頼っていたことなどによる年商規模を上回る金融債務が資金面を圧迫。事業の再建を図るため、2014年4月に三重県中小企業再生支援協議会の支援が決定。その後2015年9月、スポンサーとなった「株式会社丸利玉樹利喜蔵商店」の全額出資により「株式会社ミヤオカンパニーリミテド」(2015年7月設立、新社)に陶磁器製造販売事業を会社分割により譲渡。同時に同社は現商号に変更し清算会社に移行、株主総会の決議で解散し今回の措置となった。今後、6月から7月にかけて清算処理を行い、閉業する予定となっている。*2
■関連リンク
株式会社ミヤオカンパニーリミテド(新社)
http://www.miyawo.co.jp/new/html/main/miyaMenu.html
株式会社 丸利玉樹利喜蔵商店
http://www.maruri.ne.jp/
*1:帝国データバンクの大型倒産速報では約22億9000万円の年間売上高となっている。
*2:旧会社の清算について(PDF文書、株式会社ミヤオカンパニーリミテド(新社)、2016年5月23日)
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