信用調査大手の帝国データバンク及び東京商工リサーチによると、大阪市北区野崎町の「株式会社日食」(代表取締役:中村光孝)は15日、大阪地方裁判所に自己破産を申請し同日、保全管理命令を受けた。事件番号は平成28年(フ)第1000号で、申請代理人は澤田有紀弁護士(大阪市北区梅田3-1-3、弁護士法人みお綜合法律事務所、電話:06-6348-3055)、保全管理人には山形康郎弁護士(大阪市中央区北浜2-5-23、弁護士法人関西法律特許事務所、電話:06-6313-0381)が選任されているという。負債額は両社とも破産申請時点で約108億円としている。
日食は1955年(昭和30年)2月に設立された輸入食品販売業者。海外ブランドを中心とした各種食料品の卸小売を手がけ、ウエッジウッドやピーターラビット、ダマン・フレールなどの紅茶類、ペニンシュラ、ウォーカー、パイアールなど菓子類を中心にワインやチーズなど、多数の海外ブランド食材を取り扱っていた。全国の百貨店や雑貨店、スーパー、食品問屋などへ販路を拡大し、90年1月期には年売上高約151億8800万円を計上していた。近年はオリジナル商品の展開も行い、小売業にも進出。チーズやワイン、生パスタなどを取り扱うグロッサリーを「FETE」などの屋号*1で全国の大手百貨店やショッピングセンター、アウトレットモールなどに直営店として59店舗を展開するなど積極的に事業領域を拡大していたが、消費者の嗜好変化や百貨店業界の業績低迷、並行輸入品との競合により2001年1月期を最後に売上高は100億円を割り込んでいた。
このため、小売店舗のスクラップアンドビルドによる収益改善などを行っていたものの、在庫負担は重く、開店資金などの設備資金や運転資金などにより金融債務は70億円以上に膨張し、取引金融機関は18行にまで拡大。さらに近年の急激な円安に伴う為替デリバティブ損失の発生による収益悪化や固定費増加などにより資金繰りは余裕がない状態が続いていた。このため、金融機関との関係強化などに努めていたものの、今年に入り決算内容の一部において粉飾の疑義が表面化したことで信用低下を招き、急激に資金繰りが悪化。ここに来て資金調達が限界に達したため、今回の措置となったという。なお、保全管理人の管理のもと、在庫処理による販売*2を行いながら、一定期間は事業を継続するとのこと。*3
【追記・2016年4月26日】
信用調査大手の帝国データバンク及び東京商工リサーチによると、同社は4月15日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成28年(フ)第1000号で、破産管財人には保全管理人であった山形康郎弁護士(弁護士法人関西法律特許事務所、大阪市中央区北浜2-5-23、電話:06-6313-0381)が選任され、同時に破産管財人代理21名が選任されたという。負債総額は帝国データバンクでは約108億1200万円、東京商工リサーチでは約107億5800万円となっている。
*1:「FETE」のほか、取り扱っていたブランドを冠した店舗を展開していた。
*2:在庫処理による販売のため、代金未払いの取引については新たな納品を行わないよう呼びかけている。
*3:保全管理人によると、小売店舗による販売は2016年3月末までの営業継続を検討中とのこと。
コメントを投稿
削除申請等の場合は本人確認が可能な個人情報の入力が必要です。匿名での申請は受け付けておりません。