電力共同購買事業大手の「日本ロジテック協同組合」が弁護士一任 電力共同購買事業は3月末まで継続予定

信用調査大手の帝国データバンクおよび東京商工リサーチによると、東京都中央区佃の「日本ロジテック協同組合」は11日、破産手続きを水野晃弁護士(みなつき法律事務所、千代田区四番町7-16、電話:03-5214-3585)、島本泰宣弁護士(東京双葉法律事務所、千代田区平河町2-10-6、電話:03-3263-8055)ほか3名に一任した。東京商工リサーチによると、一任された弁護士は「破産を選択肢の一つとして調査を進めていく。調査終了次第、債権者に対して負債額等を伝える。3月31日まで電力共同購買事業を行う」と話しているという。負債額は2015年3月期末時点で約71億6061万円となっているが、その後に増加している可能性があるとのこと。また、事業は現在のところ継続中だが、3月31日をもって電力共同購買事業を終了する予定となっている。

同社は、2007年(平成19年)11月に設立された電力共同購買事業者。設立当初は共同流通センターの運営を目的とする協同組合だったが、特定規模電気事業者(PPS)の許認可取得に伴い、2010年7月より電力供給会社から電力を一括購入し仕入価格を下げたうえで組合員に廉価で電力を販売する電力共同購買事業を開始。上場企業との業務提携のほか、子会社を通じて発電施設の建設を行ったり、外国人実習生の受入窓口となり組合員向けに斡旋するなど業容を拡大し、地方自治体や公共施設、ホテル・旅館など約703団体(2015年3月末時点)を組合員として、2015年3月期には年収入高約555億9000万円を計上していた。

しかし、業績の急拡大に伴って資金需要が増加していたものの、自前の発電所を持たず電力会社や企業、自治体の余剰電力を購入し安価に再販売するビジネスモデルのため、利幅は薄かった。発電所設立を目的とした子会社への実質的な資金投入も多額にのぼり、現預金は僅少にとどまるなど内部留保が脆弱化していた。加えて、近時は特定規模電気事業者に対する電力会社からの回収の厳格化が進んだことから、急速に資金繰りが悪化。取引先への支払にも支障を来たす事態に陥っていたほか、2015年5月には経済産業省に対する納付金(電気使用者から支払われた賦課金・支払期限は4月30日)の滞納が表面化するなど、大きく信用を毀損する事態が発生していた。こうしたなか、10月にはクレアホールディングス傘下の太陽光発電に関する卸販売業者の「クレア株式会社」と業務提携を結ぶ一方で、翌11月には既存の提携先であった「株式会社リミックスポイント」との関係を解消するなど、体制が混乱。加えて、2016年4月からの電気事業者法制度改革に伴って、小売電気事業者の認可が下りなかったため、2月25日には新電力の登録申請を取り下げ、電力小売事業からの撤退を表明していた。

電力小売事業の撤退表明以降、同社に売電していた電力会社や自治体では未払いによる回収難の問題が表面化したほか、電力供給先の契約者は新たに契約の切り替えが必要となったことなどにより混乱が拡大している。また、3月11日には経済産業省より「2月29日を期限とした納付金について同日までに納付がなく、催促状により3月10日を期限に催促したが同日までに納付していない」として再生可能エネルギー特別措置法に基づき再度の公表措置を受けた模様。

(追記:2016年5月7日)
日本ロジテック協同組合は4月15日、東京地方裁判所に自己破産を申請し同日、破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成28年(フ)第2607号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成28年9月26日午後2時、破産債権の届出期間は6月30日までとなっている。また、破産管財人には渡邊顯弁護士(成和明哲法律事務所、東京都港区虎ノ門4-3-1、電話:03-6204-2700、もしくは03-3534-0051)が選任されている。負債総額は帝国データバンクによると3月31日現在で約163億円と今年最大となっている。


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