官報(6715号)によると、山梨県南アルプス市の「株式会社南アルプスプロデュース」は4日、甲府地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。事件番号は平成28年(フ)第21号で、財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成28年5月20日午前10時30分、破産債権の届け出期間は平成28年3月7日までとなっている。破産管財人には後藤光利弁護士(後藤法律事務所、山梨県甲府市丸の内2-34-8 第2メグロ会館3-A、電話:055-227-2828)が選任されている。
同社は2013年7月に南アルプス市の全額出資により設立された観光型農場「南アルプス完熟農園」の経営会社。同市内における地域の6次化産業化の司令塔としての機能を期待され、設立に際しては市から職員が派遣されたほか、農場整備などのために約8億円を出資されるなどの優遇措置が実施された実質の市営企業となっていた。同市には登山者やフルーツ狩りのための観光客などが年間60~70万人ほど訪れており、それらへの食事提供や土産物の販売により、一次計画上では年間60万人の来場者、7億8000万円の売上げを計上する*1ことで出資金の回収が可能だと試算されていた。
食事提供についてはバイキング形式のレストランを開設しており、これに関しては開店当初、行列ができるなど好調で、売上も計画時の1.5倍ほどにはなっていた*2ものの、開園前に十分な商品開発が行われなかったなどの準備不足や開園時の天候不順による果物類の不作により、もうひとつの収益の柱であったオリジナル商品などの直売所「完熟農園マルシェ」の客単価が上がらず売り上げが伸び悩んだことなどから1億5000万円の赤字を計上していた*3。これを受け、市は5000万円の緊急の追加融資などを施したものの、経営状況は好転せず、同観光農場は開園からわずか半年後の2016年1月25日に営業を停止。筆頭株主の市が甲府地裁への破産申請の準備に入っていた。
負債総額は讀賣新聞の報道では5億5000万円、毎日新聞の報道では約7億4000万円*4となっている。
*1:6次化で地域に新しい産業をつくる(Biz STYLE)
*2:南アルプス市の6次産業化拠点「完熟農園」 - 新・公民連携最前線(日経BP社)
*3:当初からモデル破綻…「完熟農園」が営業停止 - YOMIURI ONINE(Googleによるキャッシュのarchive isによる魚拓)
*4:営業停止 負債総額7億4000万円 開業7カ月、従業員全員解雇へ /山梨 - 毎日新聞(archive isによる魚拓)
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