カリブ海東部の島国・アンティグア・バーブーダに本拠を置くソフトウェア開発会社「SlySoft, Inc.」は24日、全事業を停止した。同社は28日までのディスカウント販売のキャンペーンを実施していたが、キャンペーン終了を待たない中での事業停止となったことや、同社のDNSが変更された影響で同社製品の使用が制限されたことなどから利用者の間で動揺が広がっているようだ。
同社は2003年に設立され、常駐型のDVD/Blu-rayディスクのリッピングソフト「AnyDVD/AnyDVD HD」を開発・販売するほか、Elaborate Bytes AG(スイス)が開発したCD/DVD/Blu-rayバックアップソフト「Clone CD/Clone DVD/Clone BD」や仮想ディスクソフト「Virtual Clone Drive」の販売権を取得し、販売・再配布を行っていた。同社製品である「AnyDVD」はWindows上でデバイスドライバの一種として機能し、コピーガード解除機能を有しないリッピングソフトと併用することで、コピーガードを回避することを可能にしていた。なお、日本国内においては2012年10月に施行された改正著作権法により、同ソフトを含めたコピーガード回避機能を有するソフトにおけるリッピング行為、およびそのソフトの販売は違法行為となってる。
上記のように、2012年10月以降は販売・使用が違法行為となったため、国内のダウンロードサイトでの取り扱いはなくなったものの、同社が所在するアンティグア・バーブーダ国に日本の著作権法は影響しないため、同社公式サイトにおける販売は継続して行われていた。しかし、AACSの開発団体「AACS LA (Advanced Access Content System Licensing Administrator) 」やアメリカの著作権保護団体などからの圧力などもあり、活動の幅が年々狭まってきていたという。
なお、ネット上では「Clone CD/DVD/BD」や「Virtual Clone Drive」などの販売・配布も中止されるのではないかという危惧がなされていたが、これらのソフトウェア群の開発は前述のとおり、スイスに本拠を置く「Elaborate Bytes AG」が行っているため、今回の騒動の影響は受けないという。