信用調査大手の帝国データバンク、および東京商工リサーチによると、東京都江東区(登記上は東京都品川区)の印刷業「株式会社エヌユーエス」及び関連会社の「株式会社エヌユーエス九州」(熊本県熊本市)は6日、破産手続きを野口敏郎弁護士(野口敏郎法律事務所、新宿区四谷4-3-1、電話03-6273-1713)に一任した。負債総額は帝国データバンクでは19億4800万円、東京商工リサーチでは約20億円となっている。
同社は1972年(昭和47年)3月に太洋興業株式会社と三菱化成工業株式会社(現三菱化学株式会社)の合同出資により「日本コムサービス株式会社」として設立された。設立以来「COM(マイクロフィルム)作成サービス」など、金融機関向けの情報サービス業を手がけていたが、2012年8月に株式会社エヌ・ユー・エス(旧社、現・菱洋インテリジェンス(株)、2014年3月解散)の印刷事業を統合し、菱洋インテリジェンス(株)から現商号に変更していた。主力は偽造防止と不正コピー防止の機能を持つ「セキュリティ印刷」サービスの提供で、ほかに帳票とラベルの一体型フォーム、各種ラベル基材、帳票を扱うほか、各種オフィス関連機器のサプライ事業やBPOサービス事業も展開。大手企業や金融機関、官公庁関連などを営業基盤として、2014年3月期には年売上高約55億4400万円を計上していた。
この間、2008年に当時の親会社であった太洋興業が倒産して以降は、数年で筆頭株主が変更されるなど、経営体制が安定しないなか、事業統合に伴い収益性の低い印刷部門の扱いが増加したことなどから、近時は赤字決算が続いていた。取引先への支払にも支障を来たす事態に陥り、資金調達も困難となるなか、不採算品目の生産中止などから大幅に受注が減少し、2015年3月期の年売上高は約29億5100万円にダウン。資産売却などリストラ策を断行する一方で、シナジー効果を見込んだM&Aも進めていたが、ここに来て資金繰りが限界に達し、今回の事態となったという。
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