信用調査大手の帝国データバンクによると、北海道釧路市の元・遠洋・沖合底びき網漁業「ケーエフ株式会社」(旧称:金井漁業株式会社)は11月30日に釧路地方裁判所に特別清算を申請し、12月15日に特別清算の開始決定を受けた。負債額は約18億円。
同社は、2006年(平成18年)8月に「金井漁業株式会社」の商号で設立。1919年(大正8年)5月創業で国内でも上位の水揚げ高を誇っていた金井漁業株式会社(後に金井マリーンに商号変更、2006年11月に解散し、特別清算を申請)と、関連会社の朝日漁業株式会社・金井遠洋株式会社(ともに2006年10月に解散し、特別清算を申請)の3社が、2006年6月に取引金融機関から「私的整理に関するガイドライン」に基づく金融支援を受けることとなり、採算事業の継続を図るべく受け皿会社として設立された。
旧会社の沖合底びき網漁(2隻)、ロシア海域における遠洋底びき網漁(北転船2隻)、海外巻き網漁(1隻)、北方・南方トロール(1隻)など営業基盤、設備を継承。設立後初の通年決算となる2007年9月期は、北転船1隻が違法操業したとしてロシアに船舶を没収されるなど大きな打撃を受けたが、沖合底びき網漁が堅調で、ほぼ目標どおりの年売上高約50億1700万円を計上した。その後も、新造船の建設や中古船の購入など稼働体制の強化を図り、業界トップクラスの売り上げ規模を誇っていた。
しかし、魚価の低迷や消費の落ち込み、時化による水揚げ不振から売上高が減少するなか、2010年に発覚したロシアへの裏金問題から残る1隻の北転船が停泊処分を受けたほか、東日本大震災の影響による出漁中止で2011年9月期の年売上高は約41億2500万円に大きくダウン。新造船費用の償却や金利負担、為替差損から大幅な赤字を計上し、債務超過に転落した。その後は、停泊処分を受けた船舶の操業開始から2013年9月期の年売上高は約57億9300万円に回復したが、原油高による燃料費の高騰や船舶の修繕費、償却負担が重くのしかかり赤字決算が続き、債務超過額が膨らんでいた。
このため、旧債分の返済見送りなど金融機関の支援を受けながら、ミール工場とすり身工場の閉鎖による食品加工部門からの撤退や船舶、不動産を売却するなどして経営再建に努めていたが、抜本的な経営改善が進まないことから、今年10月1日に2006年12月に設立された新富士漁業株式会社(同日、金井漁業株式会社(新社)に商号変更)に会社を分割し事業を継承させ、当社は現商号に変更し、11月25日に株主総会の決議により解散していた。
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