信用調査大手の帝国データバンクおよび東京商工リサーチによると、東京都中央区日本橋の投資顧問業「株式会社MARU」は16日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。破産管財人には坂井秀行弁護士(アンダーソン・毛利・友常法律事務所、港区元赤坂1-2-7、電話03-6894-6109)が選任された。負債は、年金基金約1850億円のうち1000億円以上について返済不能となっており、これを含めた総額は債権者6名に対して約1313億円。これにより負債総額では東証一部上場の第一中央汽船株式会社(東京都、負債1196億700万円、9月民事再生法申請)を上回り、今年最大規模となった。
同社は1989年4月に外資系保険会社の投資顧問会社として設立。2004年6月に野村証券などで本社法人三部部長などを担当してきた浅川和彦氏が代表取締役に就任し、同年8月にAIJ投資顧問(株)に商号を変更した。投資顧問業として関東財務局長(金商)第429号を届出、全国の中小企業などの業界団体で構成される厚生年金基金の運用を受託し、2011年9月末の年金受託残高は1984億円と業界41位の独立系中堅投資顧問会社として、年金専門雑誌のアンケートでは顧客から高い評価を得ていた。また、アドバンテストや安川電機など大企業の企業年金も顧客としていた。
しかし、2012年1月から証券取引等監視委員会が実施した検査の過程で、顧客から預かった年金資産の大半を消失させていたことが発覚。この年金資産消失事件、いわゆるAIJ事件により、2015年3月13日には前代表の浅川和彦被告について、詐欺と金融商品取引法違反(契約の偽計)の罪で東京高等裁判所が一審判決である懲役15年の東京地裁判決を支持し、控訴を棄却していた。2015年5月にAIJ投資顧問から現社名に社名変更、同年8月、金融機関などの債権者から破産を申し立てられており、今回の措置となった。
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