成分表示偽装が問題となった肥料メーカー「太平物産」が民事再生法を申請


信用調査大手の帝国データバンク、東京商工リサーチによると、秋田県秋田市の肥料製造業「太平物産株式会社」と同社の100%子会社「日本農芸化学工業株式会社」(群馬県渋川市)は27日、秋田地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債額は太平物産が約33億円(帝国データバンク)約36億8400万円(東京商工リサーチ)、日本農芸化学工業が約1億6000万円。申請代理人は粟澤方智弁護士(東京都中央区京橋1-2-5、奧野総合法律事務所・外国法共同事業、電話03-3274-3805)ほか1名。

太平物産は、1946年(昭和21年)9月に設立された肥料製造業者。主力の肥料製造のほか、農業資材や化学工業用品、工事資材を扱う商事部門を設けていた。肥料は秋田、青森、茨城、群馬の4工場(他に製造委託工場もあり)で生産し、製品の大半を全国農業協同組合連合会(東京都千代田区)経由で販売していた。各県共通で販売している肥料のほかに各県の土壌に対応した肥料を販売し、各単位農協で採用されたことから比較的安定した売り上げと収益をあげ。ピークとなる1984年(昭和59年)9月期には売上高112億6099万円を計上していた。

しかし、農家数の減少や減農薬、有機栽培の取り組みが進行するなかで肥料の使用量は減少傾向にあり、2015年3月期の年売上高は約65億7600万円に減少。こうしたなか、11月5日に全国農業協同組合連合会が、同社の肥料768銘柄の成分分析表を公表し、うち386銘柄で肥料の配合表示偽装が発覚し、工場の稼働をストップする事態となった。11月9日には記者会見を行い、10年以上前からコストダウンなどのために偽装を行っていたと社長自らが認め、沈静化の目処が立たない状態となっていた。同社はもともと流動資産の大半が売掛金と棚卸資産に偏る手持ち資金に乏しい状況であったことに加えて、全商品の回収・営業活動の自粛などもあって偽装発覚以来、売り上げがない状態が続き今回の措置となったという。

なお、配合表示偽装に関しては農林水産省から袋の記載を改めるまでの出荷停止と、12月20日までの原因究明、再発防止策の指導を受けている。

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