「神のみぞ知るセカイ」シリーズ、「GANGSTA.」など制作の「マングローブ」が事業停止、自己破産申請へ


信用調査大手の帝国データバンク、東京商工リサーチなどによると東京都杉並区のアニメーション制作会社「株式会社マングローブ」は9月29日付で事業を停止し、事後処理を井上玲子弁護士(港区赤坂3-4-3、大空法律事務所、電話03-5797-7510)に一任、自己破産申請の準備に入った。負債額は借入金が3億5000万円あるとのことだが、外注費などの一般債権の額は調査中。


同社は、大手アニメ制作会社「サンライズ」のプロデューサーだった小林真一郎氏が2002年(平成14年)2月に設立されたアニメ制作会社。原作者などからの打ち合わせに始まり、作業工程の企画・立案、アニメーターの招集など、アニメ制作に関わる一切の業務を手がけていた。アニメは他社が使用権を有するものが大半だったが、自社作品の制作も積極的に行っていた。代表の小林氏は、「機動戦士ガンダム」シリーズで著名なアニメ制作会社で制作責任者を務めた人物で、業界内で相応の知名度を有していた。経営面でもアニメーターを正社員とせず契約社員とすることで諸経費を軽くするほか、新陳代謝を図ることで作品毎のマンネリ化を防ぐなど、当時の知識と経験を生かした運営が行われていた。

自社作品としては「サムライチャンプルー」「Ergo Proxy」「サムライフラメンコ」などのほか、他社が使用権を有する作品の近時の制作実績としては小学館のコミック誌連載の「神のみぞ知るセカイ」「ハヤテのごとく!」などを担当。2004年にフジテレビ系列の深夜枠で放送された自社作品のTVアニメ「サムライチャンプルー」は、国内だけでなく海外でも放送されるなど幅広い人気を集め当社の代表作となっていた。クオリティーの高い作品づくりには定評があり、複数の大手企業から受注を得て、2013年10月期には年収入高約10億1700万円を計上していた。

しかし従前から同業他社との競合が厳しく、ヒット作の有無によって業況が大きく左右される業界環境が続くなか、近年はヒット作に恵まれず2014年10月期の年収入高は約4億6000万円と前期比半減以下にとどまっていた。今年に入ってからも直近まで「GANGSTA.」などを制作していたが業況は回復せず、資金繰りがひっ迫したため今回の事態となったという。

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