中国特許庁、バイオ創薬大手ギリアド社のC型肝炎治療薬「ソホスブビル」の特許申請を却下

日本で承認されたソホスブビル製剤のロゴ
中国特許庁は、アメリカのバイオ創薬大手ギリアド・サイエンシズ社が申し立てていたC型肝炎治療薬「ソホスブビル」の要となる特許申請を却下した。今回の特許申請却下は、米国に拠点を置く非営利組織「Initiative for Medicines, Access & Knowledge(I-MAK)」の付与前異議申し立てによるもの。ソホスブビルの特許申請においては、インド、アルゼンチン、ウクライナ、ロシア、ブラジル、欧州特許庁などにおける申請でも各方面から数多くの異議が申し立てられており、これまでにエジプトとインドで棄却の判断がなされている。なお、日本においては5月に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で薬価が決定され、5月20日に薬価収載されている。*1

中国は、あらゆる薬剤の原薬、つまり薬の原料の生産量において世界一の国だが、これまでは特許が壁となり、ソホスブビルの主要原薬の使用には限度があった。中国による薬・ワクチンの最終製品生産能力が拡大を続ける中、今回、ソホスブビルの二次特許却下という判断が下されたことにより、同薬のジェネリック薬(後発医薬品)が早期に中国市場に登場する可能性が高まったといえる。

今回、ソホスブビルの特許申請が却下されたことに関して、途上国などで医療支援を行っているNGO「国境なき医師団」は歓迎の意向を示した。同NGOで「必須医薬品キャンペーン」の政策分析ディレクターを務めているロヒト・マルパニ氏は「中国でソホスブビルの重要な特許申請が却下されたことは、同薬の特許可能性が大変疑わしいことを示すものであり、同様の特許申請を審査中の国々にとっては強力な先例となるでしょう。中国はソホスブビルの原薬・最終製品のいずれについても重要な供給者になり得ます。中国メーカーの参入で活性化した市場競争がソホスブビルの価格を押し下げれば、やがて、より多くの人の手に届くでしょう。ギリアド社がソホスブビルの特許取得を目指す国々にも、この動向を注視していただきたいと思います」と述べている。

*1:新機序C型肝炎治療薬ソホスブビルの薬価決定(DIオンライン)


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